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アトピーの辛さは、他人には、わかりづらい。完治までに心折れそうに
アトピー性皮膚炎は、全ての人に平等に訪れる訳ではありません。ですから、分からない人には、辛さがわかりにくいのです。
アトピー性皮膚炎を起こしやすい体質
遺伝も関係していると言われ、ご家族にアトピー性皮膚炎の人がいる場合、その体質を受け継いで、アトピー性皮膚炎を起こしやすくなることがあります。
あと、アトピー性皮膚炎のご家族等がいらっしゃらない場合でも、皮膚のバリア機能障害や免疫調節機能の障害などの要因もあります。
アトピー性皮膚炎の患者の皮膚は炎症のない時でも、セラミドと天然保湿因子が不足していることが多いと言われています。これらは、アトピー性皮膚炎の由来の炎症によって失われることもありますが、内因としてもともと不足しているとも言われています。そのため細胞の間に隙間ができて、皮膚バリアが弱くなると共に細胞内の水分が失われ流状態となり、皮膚は乾燥しやすくなるなります。このような状態の皮膚をアトピックドライスキンと呼ばれ、アトピー性皮膚炎の乾燥の原因となっています。
皮膚バリアー機能
皮膚バリアーとは、上記にも出てきましたが、皮膚は表面の皮脂膜やその下の角質細胞、角質細胞間脂質などが身体のバリア機能の役割を担っており、外からの物質の侵入や、体内からの水分の蒸発による皮膚の乾燥を防いでいます。
これらの皮膚のバリアー機能が弱まっているため、外からの異物が容易に皮膚の中まで入りこみやすい状態となっている及び、体内からの水分の蒸発しやすく乾燥肌状態になっているところに問題が発生しやすくなります。皮膚のバリアー機能はもともとの体質もありますが、皮膚を引っかいたりこすったりといった物理的な刺激や、汗、石鹸、化粧品、紫外線などによっても低下します。
天然保湿因子
角質層にある低分子のアミノ酸や塩類などの事を言います。ナチュラル モイスチャーライジング ファクター(NMF)ともいわれ、水分をつかまえて離さない性質があります。
皮脂と皮脂膜
皮脂膜とは、皮脂腺から分泌される皮脂(油分)と汗腺から出る汗(水分)によって構成された天然 のクリームです。
人の体温に近い35~36度くらいで融けて広がり、肌表面に薄い皮膜を形成し皮膚の表面をおおい(皮脂膜)、外界の刺激から肌を保護するとともに、肌水分(角質層の水分)の蒸散を防ぐという役 割を果たしています。
皮脂膜が無ければ、肌は無防備な状態となり、肌水分も失われやすく、乾燥肌になりやすく、また、角質層の剥離を防ぎますので、角質層の保水構造を健全に保ち、肌の滑らかさを保つことに大きく寄与しています。
角質細胞間脂質
表皮で作られ、角質細胞と角質細胞のすき間をうめている脂のことで、主にセラミド、脂肪酸、コレステロールで構成されます。分かりやすく例えるなら、角層をレンガ塀に例えるならば、角層細胞はレンガに、細胞間脂質はレンガ同士の間を埋めるセメントに例えることができます。
つまり、角質細胞同士をくっつける接着剤の役割とともに、水分をサンドイッチ状にはさみ込み逃がさないようにする働きもあります。細胞間脂質は、角層細胞と角層細胞の隙間を満たして、外部からの刺激の侵入や、体内の水分の過剰な蒸散を防ぐ、角層のバリア機能の一端を担っています。
アトピー性皮膚炎の原因はバリア機能異常と免疫の過剰反応
アトピー性皮膚炎は、内的要因と、外的要因がありますが、それらの根本は、体の外から侵入してきた敵と戦って退治する免疫反応によって起こるものです。
通常でしたら、免疫反応は細菌やウイルスなどから身を守るために必須のものです。しかし、アトピー性皮膚炎ではこの免疫が過剰に反応し、本来退治する必要のないものに対しても不必要に攻撃をしてしまうため、皮膚に炎症が起きてしまうことが病気の根本にあります。
免疫が過剰に反応する理由としては、もともとのアレルギーを起こしやすい体質、遺伝や先天的・後天的の皮膚のバリア機能低下も大きく関係しますが、痒みや痛みが長期間皮膚に加わる強い刺激やストレス、アトピーの為に眠れないなどでの疲労なども免疫を不安定にしてアトピー性皮膚炎を悪化させることがあります。
そして、ステロイド治療では、この炎症を抑える治療となり、免疫が過剰に反応するということに対しての根本治療ではありません。
体内環境も整えていくということも考えなければ、完治は目指せないのです。
アトピーは、見えている皮膚表面だけの治療だけでなく、身体の中から完治を目指す。
体内環境を整えて、アトピーの完治を目指すのと同時に、今現状の症状もきちんと抑えることを心がけましょう。
アトピー 治療のポイントは、まずはしっかりと炎症を抑えること。
アトピーの悪化を防ぐスキンケアをまずは考えましょう。
アトピーによる皮膚の炎症が続くとそれに伴って痒みも持続し、さらに痒いからと皮膚を引っかいてしまうことにより炎症が悪化したりします。そうなると、バリア機能もさらに低下し、外からの刺激をますます受けやすい状態になります。
これでは、余計にアトピーが悪化していきます。
身体の中から、体質改善をする前に、これらの悪循環で、アトピーが悪化を食い止めるためには、ステロイドの処方などで早くしっかりと炎症を抑えること、そしてクリームなどで、皮膚を健康にうるおいを保つスキンケア、さらに皮膚への刺激を減らすことが症状コントロールのポイントとなります。
症状をコントロールしながら、体質改善を図っていきましょう。